最近のトラックバック

無料ブログはココログ

« 大切な想いの業 | トップページ | 星を書くもの »

2011年12月 4日 (日)

天下泰平 vs 軍人の覚悟

NHK「坂の上の雲」第3部・第1話を見ました。

本日の放送は、激戦として伝わる「旅順要塞戦」。


ただワタクシ、

ミリタリーが(兵器の名前が全く覚えられないという意味で)苦手で、

近代戦術とやらが(いまいちピンと来ない概念ばかりなので)苦手で、

モックンが(生理的に)大の苦手。

なので、感想やら解説やらの類はやりません。

でも、今年のボンクラ大河を見続けた人間として、ひとつ言いたいことがあるので、それをだらだらと書こうと思いますw



今年の大河ドラマ「江」は、「天下泰平」がキーワードでした。

「戦争は悪である。平和が一番」というコンセプトで、それはワタクシも賛成。

ですが、ドラマでちゃんと描けていたかといえば、とても疑問。

戦が始まると聞いては「また戦でござりまするか」「戦はいやにござりまする」と決まり文句を言うだけで、主人公たちは何もしない。

いや、史実から大幅に外れて何かをされても困るんですが(笑)、何もしない(できない)キャラなのであれば、嫌な戦乱がなくならない世の中や人間の性の惨さに苦悩させればいいものを、脳天気に「たいへー、たいへー」と口にさせているだけ。

これが、結構早い段階からうざったくて仕方がありませんでした。


そして、どういう掘り下げ方をしたのか知りませんが、戦争がなくならないのは「男は戦争が好きだからだ」という考えが、根底にあるように感じました。

その安易すぎる切り口は、もう「これ男性蔑視じゃない?」とツッコミたくなるほど。

そりゃあ、戦いに携わるのは、古来から男の仕事でしたよ。

でも、男だって戦わなくて済むなら、戦争なんてしたくないんです。本当は、きっと。

痛い恐怖、殺される恐怖、人を殺さなければならない罪悪感に苛まれ、戦いになるのを待ち、疲れ、つらい普通の時間も過ごさねばなりません。

そんなものに好き好んで身をささげる男の方が、むしろ少数派でしょう。あるいは、この戦国の姫たちのように、安全な所で戦争を議論するだけのヤツらばかりなのが現状ではないでしょうか。


戦いたくないけれども、戦わなければいけない理由が時には発生する。そういう時代があったんです。

戦国時代ならば、自分や領民の生活を守ったり、既得権益からの圧政を取り除いたり、一族の更なる繁栄や主家のお家再興を望んだり、色々な理由があります。

戦国の姫たちの叔父も、義父も、養父も、夫も、そうした「責任ある大将」として、頑張っていた男たちでした。

「坂の上の雲」も、戦争をしなければならない理由に「国際的な地位を確立するため」というのが紹介されていました。

時には殺人マニアや戦争マニアの類もいたんでしょうけど、大抵は今後のシアワセのために必要だから、仕方なく戦いの場に身を置いていたのです。

それを「男は戦いたい生き物」という見解で片付けるって、田渕久美子アンタ一体何様だって、何度呟いたことか・・・・。

「人間に対する観察が足りない」と言わざるを得ないと、ワタクシは感じていました。


そして、今日見た「坂の上の雲」は、遠征途上にある軍人たちの苦悩と葛藤と、兵士たちの暗くて汚くて痛ましくて哀れな兵営生活が淡々と描かれていて、その映像は一種独特の迫力がありました。

で、それを見ていたら、心の底から思ったんです。

「ああ、戦争ってイヤだな。自分はそんな所に行くハメになりたくないな」と。

「こんな思いをしなければ国際的な地位が確立できなかったなんて、ひどい時代があったんだな」と。

かたや、軍人たちの言動を丁寧に描くだけで、平和なんて一言も使わずに、戦争の悲惨さ、平和の有難さを見事に伝えた「坂の上の雲」。

かたや、戦はイヤでござります、天下泰平を目指しますと、ワンパターンのようにくり返していたにも関わらず、その大切さがサッパリ伝わってこなかった「江 ~姫たちの戦国」。

同じ戦乱の時代を描いておきながら、この違い。


主役がひたすら戦争反対と天下泰平を訴えるドラマより、
主役が戦争に真っ向から取り組む姿が描かれるドラマのほうが、
「戦争はイヤなもの。平和はありがたいもの」であることが如実に伝わる。

これって不思議?それとも当然?


ワタクシは「当然」だと思う。

人間が覚悟を持って、真剣に取り組む姿には、そういう力があるんだと信じたいから。

それに、平和を訴えるだけで実質何もしないってことは、ひたすら戦争から目をそむけるってことでしょう。

ツバを飛ばして主張するのは己の存念ばかりで、
戦争に真っ正面から向かい合っている男たちを蔑視罵倒し、
安易な憂いだけがあって苦悩はなく、
くだらない文学っぽい俗さだけがあって人間への深い洞察がないドラマが、
人間の本質である「暴力」を表現できるわけがないに決まっています。

「たいへー、たいへー」って唱えるだけで平和が確立するんなら、政治なんていらないんだよ。

歴史なんていらないんだよ。

ドラマなんていらないんだよ。


「戦国の姫たち」というサブタイトルで描かれた大河ドラマ。

ワタクシは、描き方次第では「坂の上の雲」と同等、あるいはそれ以上に「戦争の残酷さ、平和の有難さ」を描ける題材になりえたと思います。

それができなかったのは、脚本がボンクラだったからだと感じてきましたし、今日の「坂の上の雲」を見て確信に近づきました。

台詞まわしやシナリオ構成もダメでしたけど、日本という国に熱い視線を向け、人間という生き物に深い興味を抱き、歴史を真摯に敬い、テーマを深く潜り込ませる、そうした技量が脚本家に足りなかったのが、今年の大河ドラマのダメなところだった。

それが、ワタクシの総評となりそうです。

キャスティングがいいところが多かっただけに、もったいないことになりました・・・・。

これをNHKは、どう総括するんだろうか。

今年の大河ドラマは、低次元過ぎて出来こそ悪かったけれども、ホンマにいい勉強になったなぁ(笑)



以下、追記。というか、感想を1つだけ言いたくなったので。

乃木大将、あれカッコ良すぎでしょ・・・・(笑)

« 大切な想いの業 | トップページ | 星を書くもの »

C:男爵語録」カテゴリの記事

G-1:テレビ」カテゴリの記事

I -2:大河「江」感想」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1458188/43260246

この記事へのトラックバック一覧です: 天下泰平 vs 軍人の覚悟:

« 大切な想いの業 | トップページ | 星を書くもの »

カテゴリー

  • A-0:連絡帳
    Blog主、マーガリン男爵からの連絡事項などです。あんまりない予定。
  • A-1:日常
    いわゆる日記。ワタクシ日々の出来事の記録が結構苦手なので、更新は少な目かも。
  • A-2:旅と見学
    日記の非日常バージョン(?)。旅行記や旅の思い出、観に行ったライブ・博物館・美術館・資料館などの感想です。
  • B-1:時事ニュース
    政治・経済・文化・教養・社会のニュースに、ずばりと斬りかかります(斬れるかどうかは別のお話)
  • B-2:芸能ニュース
    芸能界・テレビ番組関連のニュースを、ずばりと斬りかかります(やっぱり斬れるかどうかは別のお話)
  • C:男爵語録
    いわゆる「戯言」をまとめた日記。まぁ、ここに限らず全部戯言なんですが。
  • D-1:日本史
    「歴史好き」なワタクシにとって、メインのネタ。本人は真面目にやってますが、マジで受け取らない程度の態度でお願いします・・・・。
  • D-2:中国史
    歴史ネタの中国史です。もしかしたら、朝鮮やアジアも入るかも?
  • D-3:世界史
    歴史ネタの世界史です。興味あるのはアメリカ史ですが、ヨーロッパや中東も機会があればやってみたいです。
  • F-1:雑学
    ワタクシの趣味である雑学ネタ。歴史以外の・・・・ということになりましょうかね。
  • F-2:県民性
    趣味の歴史と旅から飛び火した、「県民性」について語ります。なんとなく海外にまで派生してます。
  • G-1:テレビ
    テレビの感想です。ドラマも見ますが、カルチャー系とバラエティが多いかも・・・・?
  • G-3:映画
    映画の感想です。時代劇が多いのは、地じゃあないですよ(笑)
  • H-1:コラム・ランキング
    主にmixiやgooランキングから引っ張ってきたネタ日記です。
  • H-2:テーマ日記
    ブログネタから題材を引っ張ってきたものです。
  • H-3:mixiチェックまとめ
    mixiの「チェック機能」でマークした記事と、それについてのコメントをまとめたものです。
  • I -1:大河ドラマ
    大河ドラマ関連の予想・期待、情報整理などです。
  • I -2:大河「江」感想
    歴史好きが描く、2011年の大河ドラマ「江~姫たちの戦国」の感想です。辛口批評を前提にして書いているわけではありません。念のため(笑)
  • I -3:大河ドラマ「平清盛」感想
    歴史好きが描く、2012年の大河ドラマ「平清盛」の感想です。平安時代は得意ではないので、どこまで斬り込めるか注目です(?)
  • J-1:「平安時代をやろう!」
    ワタクシの苦手な平安時代を、一念発起して綴ってみます。何故か「百人一首」ネタになりつつあります・・・・。
  • J-2:「姫たちの戦国外伝」
    大河ドラマ「江」に触発されて(または立腹して)綴った、戦国時代に関する雑談語りです。
  • K:備忘記録
    いわゆるメモ帳。あるいは温めるネタ。発酵するか腐敗するかは、自分次第・・・・。
  • L-1:バトン
    もらったり拾ったりしたバトンです。一種の自己紹介ですな。トラックバックも抜いていくのもウェルカム。
  • L-2:占い・性格診断
    Web上の占い・性格診断の結果です。一種の自己紹介であるとして公開します。
  • L-3:心理テスト
    それいけココロジー(何)
  • M-3:アニソン
    ワタクシの魂魄(たましい)、アニソンの歌詞です。