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2012年3月19日 (月)

「皇太弟」という罠

今年の大河ドラマ「平清盛」

視聴率はあんまり振るってないなんて話を聞きますが、制作者じゃないし、他人の評判なんて一切気にしないのがスタンスなので、ワタクシには関係ありません。

去年より視聴率が悪いっていうのも、なんか胡散臭さ満開だしね(笑)


ワタクシの周辺でも、一部は盛り上がってますけど、全体的には見てないとか、見ても分からないとかいうかんじ。

なので、ここに平安末期ネタを書くのは遠慮しようと思っていたんですが、ちょっとした必要が生じたので、時々綴ってみようと思い直しました。

いつも自己満足でやってるわけだし、まぁいいか・・・・というのも半々。

興味ない方は、いつものようにUターンしてください。



昨日の放送では、崇徳天皇の退位と近衛天皇(体仁親王)の即位が描かれていました。

「体仁親王をアナタ(崇徳天皇)の養子にして、譲位してちょーだい」
「上皇になれば、実権を握れるわよ」

と、得子に囁かれ、実権のない虚しい地位から脱したかった崇徳天皇は、よしとばかりに譲位してみたら、

「皇太弟に譲位する」

と譲位の詔で読まれて、「皇太・・・・【弟】だと!?違う!違う!」とあわてふためく、陥れられた崇徳天皇が描かれていました。


この辺、まずは系図を描いて、ちょこっと整理してみます。

こんなかんじ。

Photo

※「崇徳天皇の父は白河院だった」と暴露(?)している、説話集「古事談」に則った系図です。

体仁親王を「崇徳天皇の養子」として譲位したはずなのに、それを「なかったこと」にされて、系図通りに「弟として即位されてしまった」わけです。


ところで、この「崇徳天皇追い落としの陰謀」は、誰がやったものなのか?

一般には「崇徳天皇を嫌った鳥羽上皇の陰謀」と考えられているみたいです。

「祖父の子(かもしれない)崇徳なんて、皇統として認めたくない」
「憎き祖父が決めた皇位なんて認めたくない(白河院に無理矢理譲位させられてます)」
「自分と愛する美福門院(得子)との間の子に皇位を継がせたい」

という、キョーレツな動機が鳥羽院にはあります。

大河ドラマでは、「得子の陰謀」として描かれていました。

これを否定しない上で、ワタクシは藤原摂関家が仕掛けたものじゃないかと思っています。

こういう「二階にあげてハシゴを外す」みたいな陰湿な計略は、藤原氏の得意技だから(笑)

歴史的に考察してみるなら、藤原摂関家は「内覧」という公文書の最終チェックをやる役職を兼ねています。つまり、宣旨を偽造する(改竄する)なんて思いのままな立場にあったわけです。

ちなみに、関白・藤原忠通の娘(皇嘉門院聖子)は、崇徳天皇の后になっていましたが、この頃には寵愛は小野宮流の娘に移り、しかも子供まで生んでしまいます(重仁親王。ドラマでも出てましたね)

関白はこれに相当の不快感を覚えたといわれ(そりゃそうだ)、なので「崇徳天皇の追い落とし」について藤原摂関家には「動機も能力もある」というわけです。

(「保元の乱」で藤原忠通が後白河側についたのも、これが遠因としてあったのだと思われます)


閑話休題。だいぶそれてしまった話を元に戻して・・・・。

「皇太弟に譲位する」という宣旨。

「皇太子」ではなく「皇太弟」とすることの、何が問題なのか?と思われる方も多いのではなかろうか。

実は、大問題。

皇位継承問題で、一番大事なのは「皇統」。

これが、もしも体仁親王が「養子」で、「崇徳天皇の息子」なのであれば、体仁親王が天皇となった後も、崇徳天皇の本当の子供も「正統」たりえます。

しかし、これが「皇太弟」だと、ダメ。

兄・崇徳天皇から弟・体仁親王に系統が移ってしまった場合、以降は弟の体仁親王の系統が「正統」であり、崇徳天皇の系統は「傍系」となってしまうのです。

そして、父親ならば後ろ盾となって「院政」を行えますが、兄では無理です・・・・ましてや、実の父である鳥羽上皇がまだご存命の内ならば尚更のこと。

「皇太弟」に譲位するというのは、自分の血統が正統から外されて傍系になってしまう上に、権力も握れないという、まさしく「『鳥羽天皇』から『近衛天皇』までの、“つなぎ”にされた」ということを意味するのです。

こんな仕打ちを受けたとなれば、崇徳天皇が後に怨霊になってしまうのも、よく分かろうというものです(怨霊になったのは、これが直接の原因ではないですが、しかし大きな傷跡として後々に響いてくることになります)


ちなみに、その譲位の儀式での場面。

「途中で気がついたんなら、止めればよかったのに」と思いがちですが、そんなのムダ。

儀式を途中で中止させ、朝廷で認証された公文書(詔)を一方的に破棄するような帝は、運営能力ナシと見なされてしまいます。「綸言汗の如し」なのです。

で、「みかどは病にあらしゃいます」とでも言われて、退位させられてしまうので、あそこで止めても何も変わらないのです。

もう、あの場、あの宣旨が読まれた時点で、崇徳天皇は「終わっていた」のでした。


まぁ、解決法がないわけでもなかったんですけどもね。

それは、無理矢理中止した上で、鳥羽上皇と藤原摂関家を封じ込めてしまう、ただそれしかありませんでした。

しかし、それをやるには鳥羽院と藤原摂関家を抑えるだけの兵力が必要です。

鳥羽院は北面の武士や平氏を支配下に置いていましたし、藤原摂関家は源為義(義朝の父)らの河内源氏を手中に収めていました。

じゃあ、崇徳天皇は・・・・?何もありません。

和歌で歌壇を形成するのは院になって後のことですし、それにしたって兵力とは呼べません。

兵力どころか優秀なスタッフもおらず、この陰謀を事前に察知することも、対策を講じることもできませんでしたし、本人にもそんな能力はありませんでした。

やられるがまま、なすがままに譲位させられ、権力を失い、泥縄式に「保元の乱」に転がり落ちていった・・・・崇徳天皇には、そんな印象があります。


鳥羽上皇に冷遇される中、なんで崇徳天皇は自分の味方を増やしておかなかったのかなぁ・・・・。

ドラマ見ても分かるように、源氏は自分たちの扱いに不満を抱いてましたし、摂関家も外戚になれないことでイライラしてました。

周囲を見渡せば、取り入る隙はいっぱいあったのに・・・・。

これはやはり、優秀なスタッフがいなかったことと、陰謀なんて性に合わないという(お母さんに似た?いかにもボンボンな?)性格が災いしちゃったんでしょうかね・・・・。

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